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2016年 映画鑑賞のふりかえり

2016年の映画鑑賞にまつわるあれこれを、ざっくりと振り返る

今年は忙しい年でした。結構神経を使う部署だったので、昼間に集中力を使い果たしてしまい、映画を観る余力がなくなるほどいつも疲れていました。半年くらいはほとんど観ることができず、過去最大に観れなかったと言っても過言ではありません。しかし、その環境で私が考えたことは、このまま集中して着々と仕事をこなし、秋には有給を連続取得できるように画策しよう!ということでした。作戦は見事成功!何と、今年は東京国際映画祭( 以下、TIFF)の全期間に参加できました。夢が叶ったので、前半の苦労は水に流すことにします。いい年でした。(しみじみ)

 

2016年の703的ベスト11は以下の通りです。(後日、作品について記載予定)

ロブスター(アイルランド)|リザとキツネと恋する死者たち(ハンガリー)|ブルーム・オヴ・イエスタディ(ドイツ)|運命のつくりかた(フランス)|長い旅(フランス)|オレはどこへ行く?(イタリア)|pk(インド)|神に誓って(パキスタン)|すれ違いのダイアリーズ(タイ)|私たち(韓国)|淵に立つ(日本) 〈順位なし〉

10年間TIFFに通っているせいか、世界の国・地域の映画を観ようとする傾向が強まりつつあります。自分にとって珍しいところを優先して観る感じですね。今年はTIFFのコンペの全作品を観たのですが、その国の映画がわかる人とその良さについて語り合ったりしていると、自分が八方美人のような気がして仕方がありません。これでいいのか…と悩んでいたら、松岡環さん(インド映画研究家)が「むしろフランス映画とか観てるような人がインド映画をどう観るのかが気になる」と言ってくださり、なるほど、と思いました。秘境系映画ファンはあまりにも居場所がないし、一部の映画ファンには秘境系黙ってろと揶揄されそうではありますが、引き続き、これからも色々な国・地域に注目していきたいと思います。

 

 ドイツ映画に注目した2016年

今年、大注目したのは ドイツ映画 ですねー。『ヴィクトリア』は実は、そんなには刺さらなかったのですが、昨年観た『リンの夢』が結構面白くて記憶に残っていたのです。そしたらちょうどいいタイミングで渋谷先生がマイナードイツ映画を紹介し始めたので、何本か観てみたところ、あれ?ドイツ映画って結構面白いんじゃない?と思い始めた…というのがコトのきっかけです。特に『辛口ソースのハンス一丁』は「これは劇場公開してほしい!」と強く思いました。(今からでもいいのでお願いします)

これは、ドイツで暮らすトルコ移民2世のお話なのですが、「二世」という存在が、かなり響いたんですね。移民の差別、格差、貧困みたいな映画は他にもありますが、もうそこは超えて、二世が主人公になっちゃってるんです。トルコ文化・習慣の継承も捨てきれないのだけど、ドイツ人的感覚で育っている若者層の悩みは、もう別の問題にシフトしちゃってるんです。島国に住む私たちは、そこに気付けてなかったんじゃないの?と、頭を打ち抜かれた感じがしました。

それから、ポーランドの映画なんですけど『ソハの地下水道』、これも良いのです。私は本当に戦争映画が苦手で(観ますけどね)、ホロコーストの映画とか言われるとじゃあやめておこうかなと思うくらいなのですが、これは本当に眼から鱗でした。「ホロコースト映画→ナチスひどいよね、ユダヤ人かわいそう 」というステレオタイプ的な思い込みを覆され、ハッピーエンドという予想もしていなかったラストに号泣が止まりませんでした。こういう描き方があるのか!と何ヶ月も興奮していたら、東京国際映画祭で『ブルーム・オヴ・イエスタディ』に出会いました。

『ブルーム・オヴ・イエスタディ』も、ホロコーストがテーマなのですが、なんとラヴストーリーと絡めてコメディ風なドタバタ展開の中で見せてしまうのです。この見事な手法には驚きです。戦争、ホロコーストという、いわゆる『負の遺産』は深刻で、本来笑いとは無縁の世界だとは思います。ふざけるなという人もいるでしょう。でも、私はこの映画がふざけているとは思いません。性格が破綻している登場人物たちが、なぜそんな性格なのか…映画で描かれていない側面をも、私は何度もこの映画を観ながら妄想したいと思っています。

『辛口ソースの…』と『ソハの…』を観ていたところに、ものすごく神がかった感じで『ブルーム…』に出会いました。この作品は東京グランプリとWOWOW賞の二冠。あっぱれというかやっぱりというか。この作品は絶対に劇場公開されますように!  実は恋愛の部分も結構好きなんですよね。これはいつか長文を書いちゃうと思います。

 

後ろ髪を引っ張った映画たち

ベスト11には入れなかったけど、メンションとして残しておきたい映画は実は他にもあります。

まずは北欧から。『ひつじ村の兄弟』『好きにならずにいられない』…年々北欧系の人気が高まっているようですね。甘ったるくないところが好き。それからイタリア。『人間の値打ち』『7分間』、これらは脚本が本当に素晴らしいと思います。見せ所のポイントがきちっと抑えられていて、無駄がない。映画を観る充実感に浸ることができます。さすが。そうそう、『神様の思し召し』も面白かったです。今年もフランス映画の佳作に出会えてます!古い作品なのであえて2016版には入れなかったのですが、『フレンチ・カンカン』最高でした。それからオゾン監督『まぼろし』がようやく観られたのと、『パティとの二十一夜』『最高の花婿』も良かった。『クスクス粒の秘密』も後引く感じで良かったです。

もう一度、ドイツ。昔の作品だけどスタイリッシュな『ジミー・オルフェウス』。モノクロですが、そこがまたオシャレ。ドイツ映画は実は日本での公開はそれなりにあるらしいのですが、お国柄なのか優等生的なのが多くてあんまりそそられない感じなので(すみません)、その手のは多分視界に入ってなかったようです。インディーズ系でも良いので新しさとか味のある作品が観たい。これからそういう映画も入ってくるといいなぁと思います。

アジア系。エドワード・ヤン『タイペイ・ストーリー』…通常ではマイナーと言われがちな系統ですが、フィルメックスで溢れんばかりの人が集まっていて、涙が出るほど嬉しかったです。『冬冬の夏休み』も、もう無理かと思ってたけど、観ることができて感激した作品。最高です。 韓国映画は数本しか観れなくて残念でした。けど、絶対的に良かったのは『チスル』。怖くてひとりじゃ観られないと思っていたら、上映会があったので、本当に観られて良かったと思っています。。。カンボジア『シアター・プノンペン』も今年は大健闘だったのではないでしょうか。それからTIFFコンペのイラン映画『誕生のゆくえ』も、もう一度観たい作品でした。

忘れちゃならないのが日本映画。私的には深田晃司監督イヤーと言っても過言ではありませんでした。『歓待』『さようなら』『淵に立つ』と、深田ワールドを堪能。『ほとりの朔子』(昨年観てます)がロメールっぽいとのことなので、ロメールも観に行ったりと、結構どっぷりと浸った気がしています。。それから大好きな西川美和監督の『永い言い訳』も良かったですね。竹原ピストルさんのキャストが最高。あと、TIFFコンペの『雪女』も、とても丁寧に作られている作品だと思いました。