ヴィクトリア

2014|監督:マヤ・ヴィトコヴァ


共産主義体制を嫌う女性が産んだ子が、新時代を象徴する子どもとして何をやっても拍手されることに…

序盤、ブルガリアの社会体制が時系列でニュース風に写し出されるので社会派作品ぽいのだが、実は時代に翻弄された人間関係を見つめるドラマであった。特に母娘の関係。同性というのは理解できる部分があるからこそ、協力したいと思う一方で、許せなかったりもするものだ。複雑。特に母には感謝しつつ、身近な存在だからこそ嫌な面もあったりで、日本で近年話題になっている母娘間の問題に共感している私もいる。日本の問題とは異なるけれど、「母娘」三代に渡る関係性を見比べることのできる、深い映画。
社会って何なんだろう。人はひとりでは生きていけないが、社会に翻弄されて、一時的にチヤホヤされたり、周囲の人々の態度が急変したりするのってキツいだろうな。ヴィクトリアは友だちもおらず、誰を信じて良いかわからずに育ったような気がする。思い通りに生きることのできないヴィクトリアの母は一度も笑わないし。だが、亡くなった母の体を清めるシーンはじーんとした。母に愛されたかった、という思いは彼女の中で、その後どんな風に変わっていくのだろう。遠く離れたヴィクトリアからのハガキに、希望の光が見えたのは、私の思い過ごしだろうか。

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