サイの季節

2012|監督:バフマン・ゴバディイラク・トルコ合作


革命のどさくさで投獄されてしまった詩人が、時を経て妻の行方を探す。

『陽山道』*1を観た時、引き裂かれた上に死ぬしかないなんて酷い!と思ったのだが、『サイの季節』は引き裂かれた上に(別れ離れで)生かされている…。死ぬしかないのも悲劇だが、愛する人から引き離されて生き続けることもまた、残酷としか言いようがない。どうして世界はこんなに残酷なんだろう。救いのないラストも心えぐられる。
国や時代に翻弄された上に才能や能力や誠実さが仇となり、妬まれ陥れられてきた人間は大勢いる。今年はそういう内容の映画をたくさん観た気がするが、精神的な残酷さではこの映画が最も厳しい作品のように思った。人生は何度でもやり直せる、という言葉があるが、私は実はやり直せないんじゃないかなと思う。生まれた時からの時間は、ずっと一筆書きのように続いていて途切れない。修正液で消すことはできない。消せない時間をどう消化して生きるか、それがその人らしさを物語るような気がする。
あまりの悲愴感に心震えたが、引き離した男も悲愴感極まりない。愛した女性に、一度たりとも愛されることがなかったのだから。

*1:1955年の韓国映画

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