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創造と開花(その1)

映画祭


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2015年は日韓国交正常化50周年ということで、記念イベントが色々と予定されている。

だが、現時点が正常と言っていいのかどうか微妙という空気もあって、各イベントはとりあえず粛々と進められている感じがする。個人的な感触としては盛り上がっている感じはない。


韓流ブーム以前の日本には、ほとんど韓国に関する情報が入ってこなかった。
そのせいもあってか、情報が入ってくるようになってからは歌手や俳優だけでなく、食べ物やハングル、ドラマ、映画、小説といった文化面も含め、「韓国」という国への興味が急激に高まったように思う(一部の人だけかもしれないけど)。
韓国映画に魅せられた私にとって、この10年間は特別な時期だ。
そんなこともあり、今年のフィルムセンターでのイベントにはとても期待していた。


だが、ラインナップを見てみると「韓国映画 1934-1959」と、ある。
キム・ギヨン監督のような想像を絶する大物監督もいるので、レトロな作品を全否定する気はないが、正直、残念な気持ちに。
何故この期間が選ばれたのだろう。
何故この時期の白黒映画が日韓国交正常化50周年記念イベントでの上映にふさわしいと思ったのだろう。

部外者なので勝手な希望を言うと、「正常化してからの50年」を振り返って欲しかった。
商業映画は出したくなかったかもしれないけれど、この50年の間で日本でも反響が高かった映画を振り返りながら、交流の歴史を改めて確認するような機会にして欲しかったなぁと思った。

私は韓流マダムではないので、スターを呼べとかは言わない。
だが韓国映画に出会った頃の「こんな映画があったんだ」とか、「こんな所まで表現してしまうんだ」という新鮮な驚きや感動は、今も忘れがたいのだ。

自分で言うのも何だけど、私は韓タメファンとしてではなく韓国映画を観ようとする、珍しいタイプの人間なのではないかと思う。(研究者や専門家でもありません)
少しずつではあるが、1960-’80年代の映画にも触れている。
理解を深めるため、機会があれば韓国映画史に着目するようにもして来たつもりだ。


以前、李鳳宇氏が出演なさっていたNHK某番組の解説(韓国映画史)で振り返ると、「朝鮮映画令」は1940年に制定され、文化統制が強まったとのこと。’42年には映画配給と製作を朝鮮総督府管理下の会社に強制統合。検閲制度はその後70年間も続く。

’40-’45に製作された韓国映画は混乱の中で多くのフィルムが失われたが、2004-’05にかけて北京の某資料館の倉庫で発見。(今回上映されることになった『家なき天使』、『半島の春』などが該当する)これらの映画で注目する点は「植民地時代の国策映画」の中で映画が作られていることである。朝鮮人兵を集めるための宣伝映画も多い。


…それって国交正常化50周年の企画で一般の日本人が見るべき映画なの?*1
植民地時代時代に翻弄された映画人を知るほどに、どう解釈したらいいのか悩む。
より深い協力関係を結び、お互いの国に親しみを持つためのイベントだと思っていたのだけど…ちょっと意味深。
この10年間韓国映画を好意的に思ってきたが、ここまで足を踏み入れるべきではなかったかもしれない、と初めて思った。。。


気を取り直してサムギョプサルでも食べに行くかぁ…(テンションが落ちると食に走る)とか考えていたら、映画の師匠と思っている方にお目にかかった。何という偶然!
それだけでも足を運んだ甲斐があった! めでたしめでたし。

*1:興味のある人もいらっしゃるでしょうし、公開すべきでないと言っているわけではありません。近年発見されたばかりのフィルムを上映してくださるのは、むしろ好意的なことかもしれません。