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百日草

2014|監督:トム・リン


治るさ、たぶん。

死は突然訪れるが、最愛の人を亡くした喪失感は簡単には終わらない。幸せ絶頂の時にパートナーを突然亡くした男と女、それぞれの喪失の哀しみをクロスさせながら、たうたうように過ぎゆく100日間を描く。喪失の哀しみは時折映画で描かれるテーマだが、これは観客を選ぶのではないかと思う。喪失という経験自体、人によって受け取り方が違うし、哀しみが癒えていない人は観る気にもならないと思うからだ。映画の中で「私も愛犬を亡くして…」みたいな人が出てきたけど、価値観に違いがあれば慰めというより怒りを感じることもあるので、「人の心がわかる」なんて簡単に言うべきではないんだなと思う。
婚約者を亡くし、ひとりでハネムーンに出かける女性が、特に痛々しかった。出かけている間はまだ良いのだ。問題は帰ってきてからである。目的がなくなり、抜け殻になり、まっとうな判断ができなくなる。気力が出てくるまでにはおそらく100日じゃ足りないだろう。まずは心の傷が癒えるのをじっくりゆっくり待つしかないだろう。意味がないようでも時間は過ぎ、そうするしかないことを改めて知る。
東京国際映画祭 2015)

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