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善き人のためのソナタ

ドイツ映画

2006|監督:フロリアン・フェンケル・フォン・ドナースマルク


他人の生活を監視する内に、感情移入。

ドイツ人は真面目というイメージがあるのだが、もしかしたら本人の性格というよりも国家への怯えが残っているのかもなぁと思ったりした。今はそうではないだろうけれど、従わざるを得ない恐怖というものは、簡単に終わらないのでは。
最も従わざるをえなかった人間が芸術家を助けようとするこの映画は恐怖心に逆行するものだが、何だか心温まるような気がした。とても静かな作品で、感動を盛るシーンもない。けれども、タイプライターの赤インクで、自分を助けてくれた人がいることを知ることになったシーンでは、熱いものが込み上げてきた。言葉を交わすことなくとも、人を助けたいと思ったり、助けてくれた人に感謝したいと思ったり。人生は自分のために生きているようであっても、他人のために生きることに意義があるのかもしれない。