あの夏の子供たち

2009|監督:ミア・ハンセン=ラヴ|35mm


輝く季節の中で、気づくことと失うこと

追い詰められた映画プロデューサーの自死。アジア系の映画だともう少し重くシビアな感じになると思うのだけど、そこはフランス映画、美しいパリの風景や爽やかな音楽でサラリと描いてしまう。ミア監督が尊敬していた人物がモチーフとなった作品とのことで、彼へのリスペクトが感じられ、特に前半は映画プロデューサーの忙しい仕事ぶりや人柄が伝わってくる。多忙だが、全てがうまく行っていて、自信にも満ち溢れている。完璧なまでの充実感と幸福。だが、予想だにしないことは、突然起こるものだ。例えば停電とか。
突然真っ暗になり、動揺する。慌てふためきつつもロウソクに火をつけ、ぼんやりとでも灯があることにほっとする。スリルを楽しむ子供たちは「毎日停電だったらいいのにね」なんて言ったりする。外に出て見ると星が見える。だが、停電はいきなり終わる…。知らなかったことが見えてしまったり、住み慣れた街を離れることになり涙ぐんだり。思い通りにならない辛さをアジア人はただただ、噛みしめるようにしてこらえてきた。心情的には似たような部分もあるはずなのだけど、ラストでかかる「ケ・セラ・セラ」にはグッときた。なるほど、ここが違うようだ。

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キングス&クイーン

2004|監督:アルノー・デプレシャン


柔軟な考え方と生き方を肯定する

誰にでも「黒い部分」があると思う。映画を観ていると、つい主人公に共感してしまい、一緒になってワルモノを憎んだりしてしまうのだが、一方的に片方だけが悪いとは限らない。双方に問題がなかったか、考える必要がある。そうすると善い人と思っていた人が、実は何かを抱えていたりする…。こういったことは、日々の暮らしの中でもよくあるのではないだろうか。こういうことに気づいたり、目を向けながら生きていると、異様にフランス映画が面白くなってくる。また、黒い部分のある人がダメ人間でクズだからどうしようもない、ということではなく、そういう部分がある人も「ちゃんと大人」なのだということが、なんだかとっても清々しい。簡単に言うと「これでいいのだ!」とい う肯定。私は結構自分に厳しくて、反省とか否定をすぐにしてしまうのだけど、もっと自分の感情に素直になることも大切で、こんな風にしかなれなかったことにも、納得する必要があるのかもなぁ、などと思った。いいのか、これで。不十分な人間ではあるけれど、こういう大人として、生きていこうと思う。

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